システマティック・アプローチを活用した目的達成カウンセリングを学ぶ!
1.目的達成カウンセリングの意義
1. 動機づけを強化する
カウンセリングの初期段階で目標を設定し、達成に向けた具体的なプランを立てることで、クライアントの内的な動機づけを高めることができます。
この過程でシステマティックなプロセスを用いることで、クライアントは目標達成への道筋を明確にイメージできるようになります。
2. 誤解や不満を防止する
クライアントが不適切な期待を抱いたままカウンセリングを進めると、不満や誤解が生じる可能性があります。
初回セッションでシステマティックにカウンセリングの範囲や目的を明確にすることで、こうしたリスクを回避します。
3. 成果を実感しやすくする
体系的に目標設定と進捗確認を行うことで、クライアントは自己成長を実感しやすくなります。
このシステマティックな方法は、クライアントにとっての達成感を高め、カウンセリング全体の効果を最大化します。
4. 具体的な行動計画を支援する
システマティック・アプローチに基づき、目標を細分化し、現実的で実行可能な行動計画を作成します。
これにより、クライアントは具体的なアクションに移しやすくなり、カウンセリングの成果が明確になります。
目的達成カウンセリングのプロセス
目的達成カウンセリングでは、以下のシステマティックなステップを通じて、クライアントの目標達成を支援します。
ステップ1:初回セッションでの目的確認
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カウンセリングの目的を明確化
クライアントが望む変化や理想的な状態を引き出し、カウンセリングの方向性を共有します。- 質問例:「このカウンセリングを通じて、どのような結果を得たいと思っていますか?」
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カウンセリングの範囲を説明
現実的に可能なことと、カウンセリングの限界を明確に伝えます。- 例:「カウンセリングは他者を直接変える場ではなく、ご自身の対応や感情の整理を支援する場です。」
ステップ2:目標設定の明確化
- 現実的で達成可能な目標の設定
クライアントが抱える期待や目標が非現実的である場合、受容的な態度でより現実的な目標に修正します。- 例:「上司との関係を改善する方法を一緒に考えることにしましょう。」
ステップ3:行動計画の作成
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目標をスモールステップに分解
クライアントが負担なく実践できる具体的な行動計画を立案します。- 例:「まずは、ミーティング中に短い一言だけ発言してみましょう。」
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行動の具体化
行動計画を具体化し、実行可能性を高めます。- 例:「次回の会議で、『わかりました』と一言返事をしてみるのはどうですか?」
ステップ4:進捗の確認と目標の調整
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定期的なフィードバックと進捗確認
クライアントが取り組んだ内容を振り返り、達成状況を確認します。- 質問例:「先週取り組んだ行動はどのように感じましたか?」
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必要に応じた目標の再設定
クライアントの状況に応じて、目標を柔軟に調整します。
2.来談者中心療法の目的達成アプローチ
来談者中心療法は、カール・ロジャーズによって提唱された、人間の自己実現傾向を尊重した非指示的なアプローチです。
この療法では、クライアントが自身の中に答えを見つけ、自己理解を深めることを目指します。
本来、クライアントに明確な目的を持つことは必須ではありませんが、多様な期待や価値観を持つ現代のクライアントに対応するため、システマティック・アプローチを活用して目的や目標を初期段階で明確にし、効果的なカウンセリングを進める方法を説明します。
カウンセリングのプロセス
以下のステップで、来談者中心療法を活かし、システマティック・アプローチを取り入れた目的達成アプローチを進めます。
ステップ1:ラポールの形成と傾聴
カウンセリングの最初の段階では、クライアントが安心して話せる環境を整えます。
- 傾聴
クライアントの言葉を否定せず、深い共感を示しながら傾聴します。非言語的な表現(うなずき、アイコンタクトなど)も活用して、受容的な姿勢を伝えます。- 例:「そう感じられたのですね」「それは大変でしたね」
ステップ2:カウンセリングの目的の確認
初回セッションで、クライアントが期待していることを引き出します。ここではシステマティック・アプローチを用いて、クライアントの考えを体系的に明確化します。
- 質問例
- 「このカウンセリングで、どんな変化を期待されていますか?」
- 「どのような気持ちになれると嬉しいですか?」
- 「理想的な状態を少しでも教えていただけますか?」
目的が不明確な場合でも、カウンセリングを進める中で明らかにしていきます。最初の段階では、目標がぼんやりしていても構いません。
ステップ3:自己探求を支援する
来談者中心療法では、自己探求を通じてクライアント自身が課題を発見するプロセスを尊重します。
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自己一致(カウンセラーの態度)
カウンセラーが誠実であることで、クライアントも自己開示しやすくなります。 -
フィードバック
クライアントの発言を繰り返すことで、気づきを促します。- 例:「つまり、上司に対して不満がある一方で、自分の対応にも不安がある、ということですね。」
ステップ4:目標をクライアントとともに整理
システマティック・アプローチを活用して、クライアントが自身の気持ちや考えを整理できるよう、目標を明確化します。非現実的な目標や不適切な期待があれば、それを受容しつつ現実的なものに修正します。
- 例:上司を異動させたい場合
- カウンセラー:「上司の異動は直接には難しいかもしれませんが、まずはどのように関係を改善できるか一緒に考えてみましょう。」
ステップ5:プロセスの振り返り
定期的にセッションを振り返り、クライアントがどの程度変化を感じているかを確認します。必要に応じて目標やアプローチを調整します。
- 例:「ここまでのセッションで、どのような気づきがありましたか?」「次にどんな行動を試してみたいですか?」
3.認知行動療法の目的達成アプローチ
認知行動療法(CBT)は、クライアントの認知(考え方)と行動に焦点を当て、非適応的なパターンを変えることで心理的な改善を図る短期療法です。
CBTは、具体的で測定可能な目標設定を重視しており、システマティック・アプローチを取り入れた目的達成カウンセリングと親和性が高いアプローチです。
カウンセリングのプロセス
以下のステップで、認知行動療法を進めます。
ステップ1:問題の明確化と目標設定
システマティック・アプローチに基づき、クライアントの悩みを具体的に把握し、それに基づいて目標を設定します。
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問題の特定
- 例:「上司との会話が怖くて、言いたいことが言えない」という悩みを具体化します。
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目標の設定
- 例:「上司に対して、自分の意見を一度でも伝えられるようになる」
ステップ2:認知の歪みの特定
クライアントの思考パターンを分析し、非適応的な認知(認知の歪み)を特定します。
- 例:認知の歪みの質問
- 「上司に意見を言ったら怒られると思う理由は何ですか?」
- 「その考え方はいつも正しいでしょうか?」
ステップ3:新しい認知と行動の形成
非適応的な認知を修正し、新しい考え方を形成します。
- 技法例
- ソクラテス式質問法:クライアントの考えを掘り下げ、他の可能性を考えさせます。
- 例:「怒られると考えていますが、実際に試してみたことはありますか?」
- 行動実験:実際に行動を試し、その結果を振り返ります。
- 例:「次回のミーティングで、短い一言だけ自分の意見を言ってみましょう。」
- ソクラテス式質問法:クライアントの考えを掘り下げ、他の可能性を考えさせます。
ステップ4:行動計画の作成
目標に向けて具体的な行動計画を立てます。クライアントが自分で実践できるよう、スモールステップで進めます。
- 例:具体的な計画
- 1日1回、上司と雑談する。
- ミーティング中に、1つだけ質問をする。
ステップ5:効果の測定と振り返り
進捗を確認し、目標が達成されているかを評価します。新たな目標を設定する場合もあります。
- 質問例
- 「先週の行動計画を実践してみて、どう感じましたか?」
- 「次に挑戦したいことは何ですか?」
ハートフルライフカウンセラー学院では、来談者中心療法や認知行動療法を基礎としながら、システマティック・アプローチを活用した目的達成カウンセリングを習得できます。
このアプローチにより、クライアントの自己成長を促進し、効果的で満足度の高いカウンセリングを実践するスキルを学ぶことができます。
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