元教師による支援局[教師向け]授業中のトラブル

2016.07.23

新しい中学校に異動して間もない頃、他学年のクラスの授業を担当しました。

生徒とのトラブルに困惑した経験です。

今思うと、本当に未熟だったといえることであり、忘れられない出来事です。

当時は2学年所属でしたが、1学年の書写の授業を、担当することになりました。

毎週1時間だけだったので、普段からの生徒とのつながりは少なかったと思います。

書写の時間は、書道に必要な道具を忘れると授業にはなりません。

授業を受けるルールを確認し、忘れ物がないように言っても守れない子が数名いました。

その中で、毎回のように道具を持ってこない男子生徒に、厳しい口調で注意しましたが、彼は反抗的な態度をとったのです。

それまでの経験上、入学してきたばかりの1年生の態度としては信じがたい行為であったので、私も感情的な口調になり、彼と言い合いになってしまいました。

小学校時代の彼をよく知る女子生徒が、仲裁に入ってくれたので事態は収まりましたが、授業中のトラブルで一触即発の状況でした。

職員室に戻り、担任に彼のことを聞いてみたところ、家庭的に恵まれない環境にあり、小学校の頃から非行が目立っていたということでした。

私は、彼の事情や性格もよくわからず、さらに普段からのつながりもないのに、頭ごなしに注意していたことに気づきました。

この険悪な状況のままではいけない。

互いいい関係で授業に臨みたいと考え、彼と話す機会をもちました。

彼は、私の呼びかけに意外なほど素直に応じてくれました。

彼のほうもすっきりしない気持ちがあったのかもしれません。

 

二人だけで膝つき合わせて話をしたことで、授業以外のことも話ができて、少し心が通い合えたように感じました。

子どもは本当に素直です。

それからは、廊下等ですれ違うたびに、明るい笑顔で挨拶をしてくれるようになり、授業も彼なりに取り組んでくれました。

この経験を通して、教師は生徒を一人の人間として尊重し、正直に向き合う意識が大切だということを実感しました。
教師も人間です。間違うことも多々あります

何かうまくいかないと感じたときは、言葉に出して気持ちを伝え合うこと、時には腹を割って話し合うことで、よりよい人間関係ができると思います。

 

畑千栄子160723

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