摂食障害克服記 (第三十一回目) 【大学1年 5月 – 痩せていることへの安心感】
2016.06.06
ハートフルライフカウンセラー学院のスタッフ、鳥沙ゆきこです。
今回は、大学に入ってから食べることへの恐怖心が減少するなど良い心の変化があり、「このまま順調に向かっていけるかもしれない」と思ったところに、
新たな不安を感じるようになったことについてです。
大学入学して、「この節目をチャンスに変わりたい」という思いがあったのは事実ですが、実際、勉強や時間に対して、自分をストイックに追い込むことをしないようにすると、「自分に甘いのではないか」「怠けているのではないか」という思いから焦りが出てきたり、「食」に関しては、「食べる自分を許すことで過食症になるのではないか」という恐怖も同時に感じるようになりました。
拒食症の状態から抜け出したいけれど、変化することに対して抵抗もあり、自分が自分でなくなってしまうような感覚にもなりました。
特に心配だったのは「過食症」で、あるとき主治医の先生に「拒食症を治したいけれど、過食症になるのが怖くて食べることに躊躇がある」と話したところ、
「まだ何かに理由をつけて痩せていたいのね。克服することに前向きになって退院したのに、まだこの状態なの?」
と言われ、私自身がまだ痩せにこだわっていると気づかされました。
「克服したい」という気持ちは嘘ではありませんが、私にとって拒食症でいることにもメリットがありました。
何か自分ができないものに対して拒食症を理由づけにしたり、自分が取り組んでいるものに伴う責任からの逃げ道に使ったりできたのです。
嫌なことに真っすぐ向き合わないために都合のいいものでもありました。
また、摂食障害の心理的な要因の一つに、
アイデンティティーの確立ができない = 大人になることの失敗
があげられますが、周りから見放されなくないという理由で、それまで「良い子」でいることに徹していたのが、思春期になると「自分」がないことに気づきます。
ひとり立ちの準備をする時期なのに、今後どのように生きていったらいいのか分からない。
大人になることに不安と恐怖を感じるようになり、摂食障害発症につながることがあります。
当時の私の中にも、無意識でも「もっと猶予の時間が欲しい」という気持ちがあり、これが摂食障害を治すことの妨げになったのかもしれません。
でも、主治医の先生から指摘されたことが胸に響き、「いつまでも殻に閉じこもり逃げていてはいけない」「自分を変えていくことに肯定的になるべきだ」と強く思い、自分の心の問題点を見つめるようになりました。
今回も「摂食障害克服記」をお読みいただき、ありがとうございました。
「摂食障害克服記」は毎週更新していきます。
よろしくお願い致します。
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