ひろしさん
「私が、今、元気なのは認知行動療法セラピストのおかげです。
うつ病になったときは、つらくて、つらくて。。。
こんなふうじゃだめだと思っても、何もできなくて。
だから、今、うつで苦しんでいる人に、認知行動療法を広めたい気持ちでいっぱいです。
認知行動療法セラピストから、問題や悩みを解決するにあたって、認知行動療法が素晴らしいとされる点は、どんなところですか？」

ハートフルちゃん
「認知行動療法の素晴らしさ、それは、まず、悩みにくくなり、病気の再発率が低いということです。」

ひろしさん
「再発率が低い！？それは素晴らしいですね！どうして認知行動療法だと、再発率が低いのですか？」

ハートフルちゃん
「ひろしさん、ちょっと以前のことを思い出してみてください。
悩みがちな時や、心の病気にかかっている時は、ネガティブな考え方をする癖がついてしまっているのです。
認知行動療法では、前回説明したように 、何か出来事が起こった時にパッと浮かぶ考えや、湧き起ってくるイメージを、カウンセラーが投げかけた質問に取り組むことによって、バランスよく前向きな考えにシフトしていきます。
そして、そのトレーニングを何度も繰り返すことにより、考え方の癖や偏りを修正し、ポジティブな考え方ができるように定着していきます。
一度定着させると元の癖には戻りにくいので、再発率が低いといわれています。」

ひろしさん
「なるほど！前向きなバランスのとれた考え方の癖がつき、悩みにくくなり、心の病気の再発が少ない、ということですね。
確かに、私は、今はもうカウンセリングや病院には通っていません。
以前は後ろ向きな考え方ばかりでしたが、回復してからは、悩みにくくなり、何か嫌な出来事があっても、すぐに前向きな考え方に切り替えれるようになっています。
他には、どんなメリットがありますか？？」

ハートフルちゃん
「それは再発が少ないという理由にもなってくるのですが、セルフケア、自己カウンセリングができるようになる、ということです。」

ひろしさん
「自己カウンセリング？なんだか難しそうですが・・・どういったことですか」

ハートフルちゃん
「ひろしさんは先ほど、『悩みにくくなった』と言っていましたが、それは、ネガティブな思いが生まれても、ポジティブに切りえていけるよう、自分の頭の中が認知の再構築を行っている、つまり、自分で自分に認知行動療法を行っているからです。」

ひろしさん
「自分で自分に認知行動療法を行っている！確かにそうですね！
それが自然とできるようになっていました。
実は私は、とても嫌なことが起こった日には、寝る前にノートに書き出して整理するようにしているんです。
・いつ何が、どんなふうに起こって、
・その瞬間、どんな考えが浮かんだか、どんな思いになったか、
・そう考えた時の、気分はどうだったか、
・その時、体調はどうっだか？とその時の自分を見つめだします。

そして、次に、思い浮かんだ考えに対して、たとえば、
『この考えは本当にそうか？なんで僕はこう考えるんだろう？』
『僕をとても大事にしてくれた亡くなった祖父だったら、こんな時どんなふうに声をかけてくれるかな』
と考えだし、書きまとめ、出てきた新しい考えに納得感を持って、すっきりできるようにしています。

カウンセリングに通っていたころ、毎回このようにノートをつけてくるよう、ホームワークが出ていたのです。
それを、なんとなく続けていたのですが、これが自己カウンセリングだったんですね？」

ハートフルちゃん
「そのとおり。ひろしさん、その記録をまとめていくことを、コラム法といいます。
その取り組みはとても素晴らしいと思います。
ぜひ、今後も続けていってくださいね。」

ひろしさん
「はい、ありがとうございます！
私のように、回復した患者自身が、自己カウンセリングをできるようになっている、ということは、もちろん、認知行動療法を行うカウンセラーの先生自身も、自己カウンセリングを行えるということですか？」

ハートフルちゃん
「そうですよ。カウンセラーは、クライアントの気持ちに寄り添い、どのように投げかければ、クライアントが新しい気づきを得られるか、クライアントが前向きな考えを持つにはどうしたらよいか、と考えます。
当然そのスキルは、カウンセラー自身も日常で自分自身に置き換えて発揮しています。
ですから、認知行動療法のスキルを習得することは、
クライアントを癒すだけでなく、自分自身を心豊かな生活にも導いていけるのですよ」

ひろしさん
「周囲を援助するだけでなく、カウンセラー自身も、自分らしく生き生きとした生活を送れるということですね。
私も、認知行動療法のスキルを身に着け、過去の自分のように困っている大勢の人たちを助けていけるようになりたいと思います！」