代表制ヒューリスティック(Representativeness Heuristic)

代表制ヒューリスティックとは、人間が意思決定や判断を行う際に、ある事象やオブジェクトが典型例やステレオタイプにどれだけ似ているかに基づいて判断する傾向を指します。
この心理的な近道(ヒューリスティック)は、素早い判断を可能にしますが、偏見や誤解を引き起こすこともあります。

このヒューリスティックの基本原理は、ある対象が「そのカテゴリーの典型例とどれほど似ているか」を基準に、確率や可能性を評価するというものです。
その結果、実際の統計的確率を無視したり誤解したりすることがあります。

1.特徴
(1)典型性に基づく判断
・カテゴリーの「典型的な特徴」を持つ場合、そのカテゴリーに属する可能性が高いと判断される。
(2)確率の誤認識
・実際の統計的確率を無視して判断することが多い。
(3)偏見のリスク
・ステレオタイプに基づいた偏見や誤った結論に至ることがある。

2.代表制ヒューリスティックの例
(1)ギャンブラーの誤謬
・カジノでのギャンブルにおいて、「コインが5回連続で表になったので、次は裏になる可能性が高い」と考えるケース。
・実際には各回のコイン投げは独立事象であり、表も裏も出る確率は50%です。しかし、典型的な「ランダムなパターン」のイメージに基づいて誤った判断が下されます

(2) 医師に対する過剰な信頼
・「医師は治療をする人であるに違いない。殺人をするわけがない」という固定観念に基づいた判断。
・医師という職業の「典型的なイメージ」(人命を救う)に依存して判断し、医療過誤や不正行為の可能性を過小評価する。
・実際には、倫理的に逸脱した医師の事例も存在するが、「医師は善人である」というステレオタイプによって現実的な評価が妨げられる。

(3)医療診断の偏り
・医師が患者の症状を診断する際、「典型的なインフルエンザの症状だからインフルエンザだ」と即断するケース。
・実際には他の病気の可能性もあり、さらなる検査が必要ですが、「代表的な症状」に引きずられることで誤診のリスクが高まります。

(4)職業に関する推測
・ある女性がとても几帳面で静かで読書好きだという情報を与えられた場合、人はその女性を「図書館司書」と判断する傾向があります。
・実際の職業分布を無視し、「几帳面で静かな人」という典型的な図書館司書のイメージに基づいた判断をします。

(5)ステレオタイプに基づく判断
・「アジア人だから数学が得意」という偏見を持つ人が、数学のテスト結果を見ずに能力を評価してしまう場合。
・これは統計的な根拠に基づくものではなく、文化的ステレオタイプに基づいています。

3.解決策や対策
(1)統計的確率を意識する
・ベイズの定理などを使い、客観的なデータや確率を考慮するようにする。

(2)ステレオタイプを認識する
・自分がどのような先入観を持っているかを把握し、それを克服する努力をする。

(3)判断を複数の視点で検討する
・直感に頼らず、他のデータや意見を取り入れる。

代表制ヒューリスティックは、人間の判断の効率を高める便利な手法ですが、その限界を理解し、統計的・論理的な視点を持つことが重要です。

 

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