アルコール依存症

アルコール依存症とは、飲酒によるアルコールの摂取から得られる精神的、肉体的な薬理作用に強くとらわれ、お酒を飲む量や飲む時間、飲む状況を自分でコントロールできなくなる精神疾患である。
アルコール依存症は、薬物依存症のひとつであり、脳に異常が起きて飲むことをやめられない状態のことをいう。

原因
アルコール依存症の原因は多岐にわたります。
一般的には、遺伝、環境、心理的要因が主なものとされています。
また、個人差も大きく、ある人が依存症を発症する一方で、同じ状況下でも別の人は発症しないことがあります。

【1】遺伝的要因
遺伝的要因は家族歴や親戚にアルコール依存症の人がいる場合、リスクが高まることが示唆されています。
しかし、遺伝だけが原因ではありません。

【2】環境的要因
環境的要因も大きく関与しており、過酷なストレスや社会的・経済的な圧力により、アルコールに頼ることで癒しを求める例があります。

【3】心理的要因
心理的要因も重要です。自己肯定感が低く、打ちひしがれた心を持つ人は、アルコールによる一時的な安らぎを得るために依存症へと進むことがあります。
アルコール依存症は、肉体的だけでなく精神的な苦痛も伴うため、患者さんやその家族に対して温かい支えが求められます。

症状
【1】摂取行動
日常行動の合間に飲酒をし、「目が覚めては飲み、飲んでは眠る」というパターンを繰り返す病的飲酒。初期は短期間でこれを繰り返すが、徐々に延長するよういなる。

【2】探索行動
飲酒の渇望が探索行動に現れる。
隠れ飲み、酒代のための借金、飲酒を妨害する人を責める・脅すといった行動がみられ、日常生活が飲酒中心になり、飲酒優先の生活になる。

影響
【1】退薬症状
アルコール連続飲酒を中断する、飲酒間隔の延長、飲酒量の減少することによって退薬症状が現れる。
不眠、悪夢、動悸、発汗、吐き気、頭痛、腹痛、筋肉の硬直や痙攣発作などの神経症状、幻視、幻聴 などがあげられる。
退薬症状は個人によって差があるが、生命に危険を及ぼすほど深刻な状態になることもある。


【2】合併症
胃炎、膵炎、膵石、肝炎、肝硬変、心筋症、末梢神経炎、小脳変性症、前頭葉機能障害、糖尿病、貧血などの合併症を引き起こす。
また、アルコ―ル依存症患者には、うつ病や反社会性パーソナリティ障害など他の心の病気を合併しているケースが多くみられる。


【3】社会生活への障害

アルコール依存症によって家族関係が悪化し家庭崩壊が起こったり、症状が進行すると、職を失って経済的困窮へ繋がるなど社会生活上の問題が生じる。
飲酒優先の生活になるため、借金を重ねたり盗みをする場合もあり、その結果、対人関係が悪くなり、社会から孤立していくことになる。


【4】家族への影響 

アルコール依存症の本人だけでなく、その家族へも精神的な苦痛を生じさせることがある。
アルコール依存症者に対する怒りや恨み、また「うつ状態」になるケースも多い。

治療
精神療法と、必要に応じて薬物療法、セルフヘルプグループがあります。。

精神療法としては、認知行動療法が取り入れられるようになっている。
認知行動療法では、これまでのお酒に対する考え方や価値観といった認知を見直し、これからの行動や生活を改善していく。
アルコール依存症患者本人が「認知のかたより」を自覚することで、断酒を継続する目的や、飲酒を防ぐ方法などについて考えを深めていくことができるようなるため、治療に効果がある療法だといわれている。
薬物療法では、飲酒欲求を抑える薬やアルコールに対する嫌悪感を生じさせる薬を使うことがあります。
しかし、薬だけでは根本的な解決には至らず、アルコール依存症の背後にある心理的な問題も同時に取り組むことが求められます。
また、心の問題が合併している場合は、抗うつ薬や精神安定剤が用いられたり、例えば不眠を伴っている場合は睡眠薬の服用等、症状をケアするための薬物投入が行われる。
また、症状に進行により、入院治療と通院治療の2種類で治療が行われ、アルコールによって身体的な状態が悪化している場合や精神的に不安定で自殺のリスクが考えられる場合は入院治療が行われる。
セルフヘルプグループは、同じアルコール依存症で悩む人々が集まり、お互いに支え合う場です。
アルコール依存症を克服しようとする人々が、自分の経験や気持ちを共有し、他者からのアドバイスや励ましを受けることで、回復への道を歩みやすくなります。

アルコール依存症の克服は、決して容易な道のりではありません。
しかし、適切なサポートと患者さん自身の強い意志によって、回復への道は開かれます。
私たち一人一人が、アルコール依存症に苦しむ人たちに対して共感と理解を示し、温かい手を差し伸べることで、より多くの人々が克服の道を歩むことができるでしょう。

女性に多いアルコール依存症
近年、女性のアルコール依存症が増えている
女性の場合、習慣的に飲酒をするようになると、男性よりアルコール依存症になりやすいといわれている。
この明確な原因は分かっていないが、体のしくみの違いが関係していると指摘されている。男性に比べ、女性は血中のアルコール濃度が高くなりやすいため、依存症が進行しやすいと考えられている。
また、女性ホルモンがアルコールの分解を妨げることも指摘されていて、女性の方が体質的に依存症に陥りやすい傾向があるといえる。
その他、摂食障害との合併が多いことが考えられている。
摂食障害の90%以上は女性であり、患者数も近年急増しているが、摂食障害者がアルコール依存を伴うことがあることも女性のアルコール依存症が増えている要因のひとつと考えられる。


«

»

学院長・石川千鶴が直接説明

スクール説明会

  • 学び方、学びの活かし方、資格取得の方法など詳しく説明
  • レッスン・カウンセリングまで体験できる
ストレスの謎と解消法がわかる5つの特典付き

\きっと得する!/
無料スクール説明会はこちら

参加者の方は
5の特典付き