ゲシュタルト療法

ゲシュタルト療法とは、ドイツ系ユダヤ人の精神科医、フレデリック・パールズによって提唱された心理療法。
ゲシュタルト」はドイツ語で「統合全体」という意味である。

ゲシュタルト療法の概念
ゲシュタルト療法は「未完結な問題やトラウマが心に存在している場合、様々な症状があらわれる」ということを前提とする。
自分はあるまとまったグループ全体の中に存在する一部」という考えで、心と体は一体であるという観点から、ゲシュタルト療法は、言葉だけではなく、言葉以外の表現(表情、身体の動きなど)をより重視するようにして、物事を全体的に理解しようとする。

例えば、ある人が高い所に立っていたとする。
「怖くない」と言っていても足が震えている場合、その「「怖くない」という言葉だけ理解するのではなく、「足が震えている」ということにも注目し、全体的にその人の状態を捉えようとするものである。
また、ゲシュタルト療法は過去や未来に目を向けず、「今・ここ」での気づきを認識する

ゲシュタルトによる見方の例
物事は、どこに注意を向けているかによって見方が変わってくる。

(例)ルビンの盃
ルビンの盃

上の図「ルビンの盃」を見るとき、白い部分に注意を向けると「盃」が見えてくる。

しかし、黒い部分に注意を向けてみると「二人の人の向き合った顔」が見えるようになる。
「盃」だけを見えているときは「二人の人の向き合った顔」に気づかず、また「二人の人の向き合った顔」だけ見えているときには「盃」には気づかないが、全体としては「盃」も「二人の人の向き合った顔」もどちらも「ルビンの盃」の中にあるものである。
以上の2つの見方をするプロセスにおいての「気づき」を大切にし、物事を全体的に捉えるようにする。

固着によるストレス
一つの物事から色々な考え方がある。
しかし、ある特定のことばかり見てそれに執着する「固着」をもっていることがある。
例えば、友達の自分の話しばかりする所が嫌だと思ったら、その側面ばかりを見て、「自分の話しばかりして嫌」という考えに固着して、それ以外の考え方ができなくなり、ストレスとなる。
このように、固着によってストレスがたまりやすくなるが、見方を変えると新しい考えをもつことができる。
上の例でいうと、「親近感をもってたくさん話してくれる」と思えば、嬉しいと感じることができるなど、見方を変えることでストレスを解消していけるようになる。

ゲシュタルト療法の技法例 – チェア・テクニック
ゲシュタルト療法の技法例として、「チェア・テクニック」がある。
「チェア・テクニック」とは、潜在的な思いを表に出すためのテクニックで、視点を変えることでストレスを解消していくというものである。
椅子技法」ともよばれている。

手順は、まず2つの椅子を向かい合わせに置き、片方に自分が座り、もう片方に自分が話したい相手またはもう一人の自分が座っていると想定し、ストレスに思っていることなど、話したいことを語る。
語り終えたら座る椅子を交代し、今度は自分が、話したい相手またはもう一人の自分になってその返事をする。
椅子を変える」ことが「視点を変える」ことに繋がり、一人二役を演じることによって、自分自身でも気づかなかった考えや意識が明確化され、未知の部分が見えてくるようになる
このように自分の新たな考えに気づいていくことで、ストレスコントロールができるようになる。
一人で考えることに行き詰まりを感じていたり、客観的に冷静に考えを展開したいと思うとき、この「チェア・テクニック」を役立てていくことができる。

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