元教師による支援局[教師&保護者向け]部活動での出来事
2016.09.24
中高生にとって、青春を謳歌できるものの中に、部活動があります私が在職中の頃に、生徒たちに学校に通って来る理由、楽しみは何かと聞いたことがあります。
8割以上の生徒が「勉強」ではなく、「友だち」と「部活動」を挙げていました。
充実した学校生活を、部活動に求める生徒が多くいると思いますが、だからこそ、そこにトラブルが起こると友人関係が崩れたり、不登校になったりする場合も出てきます。
バスケットボール部に所属し、活動をしていた男子生徒の話です。
彼は、体格がよく運動能力も高いほうだったので、中2の頃からレギュラーとして活動していました。
学年の同部員とも仲が良く、校外でも遊び仲間でよく一緒に行動していましたが、彼らが中3になり、大会に向けて練習をしていた頃、チームメイトでの関係が崩れ始めました。
中心メンバーとして目立っていた彼のわがままな言動に、周りが嫌気が刺していたのです。
練習の雰囲気も悪くなり、仲間外れのような状況になってしまい、彼が部活動を休むことも多くなりました。
そして、中3の最後の試合にも出られず、退部ということになりました。
当然のように彼の言動は反抗的になり、学校生活も荒れてきました。
顧問の教師はどうしていたのか。
若い彼は、生徒から見るとお兄さん的な存在で部員たちから慕われ、彼とも信頼関係で結ばれていましたが、彼が孤立してしてからは、その関係が崩れていったようでした。
ある晩、彼の保護者からの申し出で家庭訪問をしました。
学年主任だった私も同席することになり、そこで今までの経緯や彼の心の苦しみを知ったのです。
彼が一番悲しかったことは、ある試合に勝利したときに、顧問の彼が「全員で頑張って勝てた事が嬉しい。」と初めて泣いたということでした。
部員同士のメールでのやりとりを見ていてわかったそうです。
”全員って?俺は出てないよ。今まで何があっても涙を見せない先生が俺が出てない試合で何で泣くんだよ。”と本当に悔しかったということでした。
彼は顧問の先生が大好きで、彼に認められたくて一生懸命に頑張ってきたのに、裏切られた思いが強かったのだと思います。
友人関係が崩れる理由が彼の言動にあったとしても、教師が生徒の心を傷つけたことは間違いのない事実でした。
「あの時は嬉しくて、生徒が全員いるものだと思って言ってしまいました。」
「うちの子がいてもいなくても、気にもしてくれない。そんな先生がいますか?。」
涙ながらの厳しい口調の母親に、教師として弁解の余地はありません。
この件に関しては何度か保護者会を開き、部員たちへの対応を考えて取り組みましたが、教師として配慮が足りなかったことは否めません。
今までの指導の至らなさと生徒への配慮不足に謝罪し、これからの彼の学校生活を見守るということで帰りました。
部活動の顧問の先生方は、休日も休まず、家庭も二の次で生徒と共に頑張っていて大変だと思いますが、部活動は、同じ目標に向かって切磋琢磨し、心身の成長や友情などが育まれるものです。
生徒たちとの心のふれ合いを大切に、ちょっとしたことにも目を向けて、問題は早めに解決していく姿勢が大切ではないかと思います。
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